第1回:支援はある。でも、つながりにくい
「卒業した後、どこに相談すればいいんだろう。」
障がいのある子どもを育てる中で、
そんな不安を感じる人は少なくありません。

学生の間は、
- 学校
- 病院
- 福祉サービス
など、周囲とのつながりがあります。
特に子どもの頃は、学校や小児医療、地域の支援機関などが、長い時間をかけて家庭と関わっています。
しかし進学や卒業をきっかけに、
- 小児医療から成人医療へ移る
- 子ども向け支援が終了する
- 新しい窓口を探す必要が出てくる
など、それまでのつながりが途切れやすくなることがあります。
この問題は、外からは見えにくい
こうした困りごとは、社会の中であまり共有されにくい部分があります。
- 声を上げる余裕がない
- 「本人や家庭の問題」として扱われやすい
- 制度が分野ごとに分かれている
そんな理由から、支援の途切れや孤立が、個人の問題のように見えてしまうことがあります。
でも実際には、制度や支援の“つながりにくさ”が背景にあるケースも少なくありません。
支援は「ない」わけではない
日本には、
- 医療
- 福祉
- 教育
- 就労支援
など、さまざまな支援制度があります。
ただ実際には、
- 「どこに相談すればいいか分からない」
- 「相談したけど次につながらない」
という声もあります。
つまり問題は、
支援そのものが存在しないことではなく、
支援同士がうまくつながっていないことにあります。
実は、変化は15歳頃から始まっている
「18歳の崖」という言葉があります。
学校の卒業や制度の切り替えが重なることで、
支援が途切れたように感じやすくなる時期のことです。
ただ、問題は18歳で突然始まるわけではありません。
最初の大きな分岐は、中学卒業後の15歳頃から始まります。
- 高校進学
- 就労
- 在宅
など、進路が分かれ始めるからです。
義務教育が終わることで、学校による一律の支援も少しずつ変わっていきます。
そして18歳前後で大きな切り替えが起きる
その上で18歳前後になると、
- 学校の卒業
- 福祉制度の切り替え
- 小児医療から成人医療への移行
などが重なります。
さらに、それまで周囲が支えていた部分が、
少しずつ「本人主体」に変わっていきます。
もちろん、子どもから大人へ移行すること自体は自然なことです。
ただ問題は、その移行がスムーズにつながりにくいことです。
障がいによっても状況は違う
例えば知的障害の場合は、
- 早い段階から支援につながりやすい
- 学校や福祉との接点が比較的多い
ことがあります。
一方で、発達障害や精神障害では、
- 子どもの頃は支援につながっていない
- 思春期以降に困難が強くなる
- どこに相談すればいいか分からない
というケースもあります。
同じ「障がい」でも、支援との距離感は大きく異なります。
「18歳の崖」は一つの問題ではない
実際には、
- 15歳頃から始まる進路の分岐
- 18歳前後の制度の切り替え
- 医療や支援先の変化
こうしたものが重なり合っています。
その結果、「急に支援が途切れた」と感じやすい状況が生まれます。
このシリーズで考えていくこと
このシリーズでは、
- なぜ18歳前後で支援が途切れやすいのか
- なぜ20代に「空白」が生まれやすいのか
- 支援が続く仕組みは作れるのか
を、順番に整理していきます。
次回は、
「18歳の崖」と呼ばれる変化について、
もう少し具体的に見ていきます。
参考・関連情報
厚生労働省「障害者総合支援法」
厚生労働省「移行期医療支援体制整備事業」
厚生労働省「障害福祉サービス等」