18歳の崖と20代の空白

第3回:なぜ20代は「空白」になりやすいのか

「気がついたら、何もしないまま何年も過ぎていた。」

20代について、そう振り返る人がいます。

学校を卒業し、働き始めようとした。

でもうまくいかなかった。

どうしたらいいのかわからないまま、次の一歩が見えなくなる。

そうして自分の人生が止まってしまった・・・

そんなふうに感じる方もいらっしゃいます。

20代は

  • 進学する
  • 働き始める
  • 人間関係を広げる
  • 失敗しながら調整する

そんな「試行錯誤」の時期です。

少しずつ社会と関わりながら、
自分に合う環境を探していく。

本来は、そうした時間のはずです。

例えば、多くの若者にとって、
大学生活やアルバイト、そして就職も

失敗しながら社会との距離感や人間関係を学び、そしてやり直すことができる、
「試行錯誤」の場でもあります。

一方で障がいのある若者の多くは、
大学生活などモラトリアムを謳歌する時間も無く、

試行錯誤する余裕がありません。

しかも今の社会は、

「自力で動くこと」を暗黙の前提にしています。

なので、もし現在の環境を変えたいと思っても、

新たな進路や職場を探したり、次の環境へ移るのが

とても難しいことになってしまいます。

もちろん、日本にもさまざまな支援制度はあります。

しかし、

  • 就労を前提とした支援
  • 個別相談中心の支援
  • 利用期限のある支援

も多く、

「安心して試行錯誤できる場所」

は、決して多くありません。

繰り返しますが、20代という時期は

  • やってみる
  • 失敗する
  • 調整する
  • また挑戦する

そうやって少しずつ社会との距離感を探していく時期です。

しかし障がいを持った若者には、
その「試行錯誤できる場所」が少ないため、

一度うまくいかなくなると、
そのまま孤立につながりやすい、という危険性があるのです。

学生時代には、

  • 学校
  • クラス
  • 先生
  • 友人

とのつながりがあります。

しかし卒業後は、

  • 所属がない
  • 日常的に話す相手がいない
  • 外に出る理由が減る

という状態になりやすい。

そしてこの孤立は、
外からは見えにくいのです。

外から見ると、

  • 働いていない
  • 学校にも行っていない

そんな人は、ただ何もせず、そして何も考えていないかのように見えてしまうかもしれません。

しかし実際にはその人は、

  • どう動けばいいか分からない
  • 失敗が怖い
  • エネルギーが残っていない

という状態にあるのかもしれません。

特に、一度強い失敗体験をすると、

「また同じことになるのではないか」

という不安が大きくなります。

福祉の分野では、

ライフモデル理論、という考え方があります。

その人の抱えている問題や生きづらさについて、

本人の特性や心理面だけがその理由と考えるのではなく、

制度や周囲の理解など、

その人を取りまく環境との関係性に注目する理論です。

つまり、人生の「空白」が起こってしまうのは

本人の問題だけではなく、

社会的環境や
支援の仕組みとも深く関係しているのです。

次回予告

では、支援が途切れにくい仕組みは、
作れるのでしょうか。

次回は、欧米の「移行支援」を例に、

学校卒業後の支援が、

どのようにつながれているのかを見ていきます。

※ 関連記事

卒業後の進路や、
「学び続ける場所」については、

でも触れています。

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