第3回:なぜ20代は「空白」になりやすいのか
「気がついたら、何もしないまま何年も過ぎていた。」
20代について、そう振り返る人がいます。
学校を卒業し、働き始めようとした。
でもうまくいかなかった。
どうしたらいいのかわからないまま、次の一歩が見えなくなる。
そうして自分の人生が止まってしまった・・・
そんなふうに感じる方もいらっしゃいます。

20代は、本来「試行錯誤」の時期
20代は
- 進学する
- 働き始める
- 人間関係を広げる
- 失敗しながら調整する
そんな「試行錯誤」の時期です。
少しずつ社会と関わりながら、
自分に合う環境を探していく。
本来は、そうした時間のはずです。
例えば、多くの若者にとって、
大学生活やアルバイト、そして就職も
失敗しながら社会との距離感や人間関係を学び、そしてやり直すことができる、
「試行錯誤」の場でもあります。
試行錯誤ができにくい現実
一方で障がいのある若者の多くは、
大学生活などモラトリアムを謳歌する時間も無く、
試行錯誤する余裕がありません。
しかも今の社会は、
「自力で動くこと」を暗黙の前提にしています。
なので、もし現在の環境を変えたいと思っても、
新たな進路や職場を探したり、次の環境へ移るのが
とても難しいことになってしまいます。
「失敗しても戻れる場所」が少ない
もちろん、日本にもさまざまな支援制度はあります。
しかし、
- 就労を前提とした支援
- 個別相談中心の支援
- 利用期限のある支援
も多く、
「安心して試行錯誤できる場所」
は、決して多くありません。
繰り返しますが、20代という時期は
- やってみる
- 失敗する
- 調整する
- また挑戦する
そうやって少しずつ社会との距離感を探していく時期です。
しかし障がいを持った若者には、
その「試行錯誤できる場所」が少ないため、
一度うまくいかなくなると、
そのまま孤立につながりやすい、という危険性があるのです。
孤立は、静かに進む
学生時代には、
- 学校
- クラス
- 先生
- 友人
とのつながりがあります。
しかし卒業後は、
- 所属がない
- 日常的に話す相手がいない
- 外に出る理由が減る
という状態になりやすい。
そしてこの孤立は、
外からは見えにくいのです。
そして「何もしていない」ように見えてしまう
外から見ると、
- 働いていない
- 学校にも行っていない
そんな人は、ただ何もせず、そして何も考えていないかのように見えてしまうかもしれません。
しかし実際にはその人は、
- どう動けばいいか分からない
- 失敗が怖い
- エネルギーが残っていない
という状態にあるのかもしれません。
特に、一度強い失敗体験をすると、
「また同じことになるのではないか」
という不安が大きくなります。
人は「環境」と切り離されて生きているわけではない
福祉の分野では、
ライフモデル理論、という考え方があります。
その人の抱えている問題や生きづらさについて、
本人の特性や心理面だけがその理由と考えるのではなく、
制度や周囲の理解など、
その人を取りまく環境との関係性に注目する理論です。
つまり、人生の「空白」が起こってしまうのは
本人の問題だけではなく、
社会的環境や
支援の仕組みとも深く関係しているのです。
次回予告
では、支援が途切れにくい仕組みは、
作れるのでしょうか。
次回は、欧米の「移行支援」を例に、
学校卒業後の支援が、
どのようにつながれているのかを見ていきます。
※ 関連記事
卒業後の進路や、
「学び続ける場所」については、
でも触れています。